桃林春秋 torin-syunjyu

大阪八尾市の和菓子屋 與兵衛桃林堂のブログです

茅葺き屋根の葺き替えの模様 その3

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 今週に入り木枯らし一号が吹き、急に寒くなりました。ご覧いただく店の表はいつもとあまり変わらぬ様子ですが、庭に面した屋根、裏側では茅葺き屋根の葺き替え作業が着々と進んでおります。

屋根の上からトントンという音が響きます。大宇陀から運ばれてきた新しいヨシが、束ねられる音です。長いものでは2メートル以上もあるヨシが穂先を上に載せられていきます。ところどころには、短いヨシや今まで使われていた古いヨシも差し込まれ、長いヨシ短いヨシ、新しいヨシ古いヨシが職人さんの手で屋根の上に載っていきます。

数日間で、こんな厚さまで作業が進んでいます。

 束ねたヨシの先を差し込むように載せていき、下は屋根本来の傾斜に合わせるように、手で押され、木小手(きごて)やたたきと呼ばれる道具で叩かれて屋根らしい断面に整えられていきます。この傾斜で屋根の格好が決まるようです。職人技の光る作業でしょうか、とても美しいです。

ヨシは竹で押さえられ、そして針金が竹と屋根裏の木の骨組みに巻きつくようにして固定されていきます。まるで銛(もり)のような針に似た道具に結び付けられた針金が屋根に差し込まれ、その針金は、屋根の裏側で別に刺されている針の先端に結び付けられてその針を抜くことにより、再び屋根の上に出されて、それを結わうことによって固定される仕組みです。畳を縫う作業にも少し似ているような気が致します。屋根の上と屋根裏とで、声を上げあっての作業が続きます。

屋根裏から、「もう5センチ右に!」「まだ出てない!」など、屋根上の人に指示を出す声が聞こえます。

木小手や針など道具は使いながらも、ほとんどは職人さん達の手作業です。それでも、毎日着実に新しい屋根の厚みが増していっています。もう屋根のてっぺんに近づいてきました。

不順なお天気の合間、今日から瓦を取る作業に入りました。葺き替え後には、今は波うったような屋根の瓦の線もまっすぐきれいな姿になるそうです。続きは次回また、お知らせさせていただきます。
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