桃林春秋 torin-syunjyu

大阪八尾市の和菓子屋 與兵衛桃林堂のブログです

「河内木綿のれん披き」を致しました

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與兵衛桃林堂にまつわる、小さな情報をお伝えしております。

 寒いながらも陽射しがまぶしい晴れやかな日、お天気までもがこの日を祝ってくれているような気持ちです。

 午後二時、このたび暖簾を制作して下さいましたNPO法人河内木綿藍染保存会事務局長の西野民夫様によるご挨拶のあと、掛け声を合図に幕がひかれました。立派な暖簾が現われますと、見守って頂いた方々から拍手と歓声がおきました。

常日頃お世話になっているお馴染みの方々ばかりでなく、八尾市役所や教育委員会などからもお忙しい時間をぬって、本当に沢山の方々が「のれん披き」に駆けつけて下さいました。

なんと田中誠太市長もお越しくださって、思わず感激した私どもです。

 暖簾の文様は「牡丹唐草文様」といって、河内木綿の古典文様の中でも象徴的な文様の一つだそうです。NPO法人河内木綿愛染保存会様の「河内木綿のふるさととのれんの街 八尾」の活動が、この暖簾から始められました。
 この暖簾は、今後、毎月10・11日と26・27日の四日間、南側の古い玄関表にかけさせていただきます。なぜこの四日間かと申しますと…河内木綿と同じく八尾の名物であるお逮夜(たいや)市が開かれる日だからです。お逮夜というのは、忌日の前夜のことで、浄土真宗ではその日にお参りをする風習があったそうです。久宝寺御坊・八尾御坊として知られる顕証寺と大信寺では、親鸞聖人の忌日(28日)の前日27日と、蓮如上人の忌日(12日)の前日11日に読経法会が開かれ、その参詣者の善男善女を目当てに開かれた市がお逮夜市でした。久宝寺顕証寺門前から八尾の大信寺まで、道路の両側に沢山の露天商が並んで、履物・衣類・荒物・雑貨などあらゆる日用品が売られたそうです。現代ならフリーマーケットとも言えそうな賑やかな市は、大きな府道が整備され自動車の交通量が増えたことなどから露店を出せる場所が減り、次第に賑やかさも消えていったようです。さらに近年は、商店街そのものが百貨店やショッピングセンターに人通りを奪われてきています。

 それでも大信寺のある商店街(八尾ファミリーロード)では軒を連ねるお店各々工夫をこらした趣向で、お逮夜市の伝統を守る活動をされているようです。近代化とともに賑わいをなくしたお逮夜市と、地場産業としての姿が消えてしまった河内木綿。NPO法人 河内木綿藍染保存会を主宰される村西徳子先生は、この二つの伝統を、「河内木綿ののれん」によって守り広め、地域活性をはかる試みにいかそうと思いつかれたようです。お逮夜市とその前日の計四日間、ハレの日に掲揚される国旗のように、河内木綿の暖簾を軒先に掲げお客様をお出迎えして暖簾で八尾の街の魅力を再発信しようという活動を、小店から始めて下さいます。

 これから順次、八尾で名の通った古いお店などに暖簾がかけられていくそうです。その一番最初に、再開わずか五年余りの小店を選んで下さったのは、この家屋が元々は河内木綿の問屋であったこと、これから暖簾がかけられてゆくお店のなかで一番東に小店が位置しているのが大きな理由ですが、小さな商いとなった私どもの店が細くとも長く続くようにと応援の気持ちも込めてくださってのことではないかと私どもは受けとめております。村西先生をはじめこの活動を支えておられる方々、今日お越し下さった皆さまへの深い感謝はもちろん、日頃からお世話になっております沢山の方のお顔が浮かび、いつもどこかでどなたかが応援して下さって・・・この家屋が今こうしてここにあるという思いに至ります。記念すべき一日の終わりに訪ねて下さった伝統河内音頭継承者・河内家菊水丸さんも、立派な暖簾ですねと共に喜んで下さいました。

 大和(奈良)と難波(大阪)の間に位置した当地河内(八尾)には、歴史の舞台に登場した場所も沢山あります。八尾の名所と河内木綿ののれんを巡るツアー、など催される日が来ましたらどんなに嬉しいでしょうか。暖簾をご覧になりに、どうか是非お出かけ下さい。
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