桃林春秋 torin-syunjyu

大阪八尾市の和菓子屋 與兵衛桃林堂のブログです

「河内木綿ののれん披き」を致します

桃林春秋をご覧頂きありがとうございます。
與兵衛桃林堂にまつわる、小さな情報をお伝えしております。

 いつの間にか寒い冬到来の気配です。暖かい日が続き遅れていた紅葉のたよりをよく見るようになりました。冷たい風に身を縮めると、東北・被災地のことが気がかりになる半面、きれいな景色を目にすると日本の四季の美しさに心を奪われてしまったり、自然に向き合うと色々な思いがわいてきます。

 明日25日(金)、小店に新しい暖簾(のれん)が届きます。夏の藍染うちわ展でもお世話になっております、NPO法人 河内木綿藍染保存会・村西工房様が作って下さいました。江戸時代、大和川の付け替え工事により出来た土地が木綿の栽培に適していたことから、八尾は河内木綿の産地として栄えました。近代になり機械化が進み、また外国から安価で綿が輸入されるようになったこともあり、遠地までも名の知られていた河内木綿は他の農産物や地場産業にとってかわられたそうです。その河内木綿の魅力にみせられ、河内伝統の手仕事を後世に伝え地域活性にも役立つ活動をすることを目的に村西徳子先生は保存会を起こされました。

 暖簾(のれん)は、店の顔とも言われます。それは、商いを続けていくことが「暖簾を守る」、お客様の信用をなくす行為が「暖簾を汚す」と言われることからもうかがえます。外と内を分ける仕切り、日よけ、目印という実用性以上の重いもの、伝統や信用をかかえるものでもあるということでしょうか。老舗とよばれるお店には必ずといっていいほど立派な、味のある暖簾がかかっていることから、村西先生は日本の暖簾文化を大事なものと捉えられたようです。

 小店は事情あり、一年の休業を経て與兵衛桃林堂として和菓子屋を再開致しましてからはまだ五年が過ぎたところです。歩き始めたばかりの小さな店ですが、曽祖父が桃林堂として商いを始めてからの八十余年、そしてその和菓子屋を商いとする以前は、河内木綿問屋として栄えた時期もあったようです。江戸時代から三百年を超えて、いい時期も悪い時期も乗り越えてきたこの家屋に、河内木綿の古典文様の立派な暖簾が明日、届きます。

 午後二時より、NPO法人河内木綿藍染保存会・村西先生をはじめ工房の皆様、また暖簾を染められた染工房の仙波さん、活動にご協力をされている八尾市ややお文化協会様などのご来賓の方にもお越しいただきまして、「のれん披き」を行います。27日(日)まで暖簾を披露させていただきます。 「河内木綿のふるさととのれんの街 八尾」という、村西先生の河内木綿とのれんによる文化的な町おこし活動の皮切りに、のれん披きの晴れ晴れとした舞台が小店に与えられました。どんな暖簾でしょうか…暖簾とその活動のお話は、次回の桃林春秋でお伝えさせていただきます。
581-0004 大阪府八尾市東本町2-5-12 與兵衛桃林堂(月曜日定休日)
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