桃林春秋 torin-syunjyu

大阪八尾市の和菓子屋 與兵衛桃林堂のブログです

河内片片 河内太鼓・その一 ヨホホイホイ

「人生いろいろ」と言いますけれど、河内音頭もじつはいろいろなんですね。
 
 「河内音頭とは?」が知りたくて八尾市立図書館の郷土史関係資料を いろいろ当たってみましたが、 定義らしいものはどこにも見当たらない。 ならば八尾市発行の 『河内の音頭いまむかし』(村井市郎著)あたりで調べるのが確かかも・・・。 八尾市は「河内音頭のふるさと」と、市をあげて河内音頭の本場をうたっているのですから。
その結果は。
 ♪エェンさァてはァア 一ィ座のみなさまヘェ・・・で始まる、 例のズンチャチャ、ズンチャのリズムのこんにちの河内音頭。 これが始まったのは、なんと太平洋戦争直後というではありませんか。
もちろん、だからといって河内音頭は戦後生まれだなどとは見くびるわけにはいきません。
その前身という、元節(もとぶし)となるものは大正、明治、さらには江戸以前にまでさかのぼって存在したようです。
 正確に言いますと、わたしたちのこの河内という土地には古くからいろんな音頭があったのですが、 河内音頭と名のつく音頭は、すくなくとも戦前はなかったというわけです。 筆者の村井市郎さん(元府立天王寺高校教諭、日本民俗音楽会会員)は、 大阪府下各地の主に盆踊り音頭を調査して回り、 オタマジャクシには乗りにくい節回しなどを独創の楽譜に採譜して分析しました。 その結論はこうです。
 盆踊りは河内地方に限ってみても三十数種類ある。 河内音頭という呼称はそのうち七種類の音頭に対するものであって、 河内の音頭の総称ではない。
七種の河内音頭のうち主流と見られるものは四種類である。



河内音頭の元節 通称・交野(かたの)節。河内国の北端の交野郡(かたのこおり)を中心に。
本来の河内音頭 別名・歌亀(うたかめ)節。明治初め、北河内茨田郡(まったこおり)の音頭取り(通称・歌亀)によってひろまる。
先代の河内音頭 一名・平野(ひらの)節。大阪・平野を中心に大正末ごろから。
現代の河内音頭 旧称・浪曲音頭。浪曲の地節のリズムをベースに、戦後。


では、ここでいう主流とは何か?どんな特色があるの?
 村井さんによれば、こんにちの河内音頭は「何でもありの、 自由度の高いリズム音曲」です。 そして、この河内音頭の系譜に共通性を求めると、 おなじみ「ヨホホイホイ」の掛け声にあります。
一節が原則として上の句、下の句に分かれていて、 その切れたところで音頭取りが♪ヨホホイホイと声を掛ける。 踊り手が応えて♪イヤコラセー、ドッコイセー。
これで、あの、河内音頭ならではの調子のよさ、ほどのよさが生まれる。 河内音頭の決め手といいますか、キーワードはどうやらこの「ヨホホイ」なんですね。
いい感じ。